「救急部で診察しているのは何科の医者なのだろう?内科か?外科?それとも脳外科の医者?」なんていう疑問をお持ちの方もあるいは多いかと存じます。
救急室を訪れるすべての方の初期診療は救急部医師が行い、救急当直の研修医がそれをサポートします。(他科の医師との間に予約がある場合は除きます。)
老若男女を問わず、風邪で受診しても、骨折で受診しても、心臓が止まって救急車で運ばれた人も、包丁で指を切って歩いて受診する人も、内科の病気も皮膚科の病気も、すべての方は、まず救急部医師が診察いたします。
その上で、救急部医師は「トリアージ」ということを行います。これは医学用語で「3つに分ける」というような意味で、次のような3つに分けます。
1.症状が軽い場合、救急部医師が治療を行い、場合によっては薬を処方して、帰宅とします。場合によっては、再来してもらうか、または専門の科を受診してもらいます。
2.症状が中くらいの場合、しばらく救急外来で様子をみて、検査結果をふまえてどの程度の病気かを判断します。
3.重症の場合、すなわち入院や手術が必要な場合や専門的な検査が緊急に必要な場合は、専門の科に連絡して、その科の医師にバトンタッチすることになります。
例えば、あなたが「おなかが痛い」ということで受診されたとしましょう。まず、救急部医師が診察します。
もし、腹痛が軽症で、単に「おなかの風邪」であると診断されれば、胃腸薬で帰宅していただき、症状が続けば救急外来または内科を再度受診してもらうことになります。
もし、腹痛がかなりひどいようなら、点滴や検査などを行って、何か怖い病気が隠れていないか検査を行い、その結果をみて今後の治療を決めるというふうにさせていただきます。
もし、その結果「虫垂炎なので手術が必要」ということになれば、消化器外科の医師に連絡をとって救急外来に呼んで担当をバトンタッチし、あなたは外科で入院、手術ということになります。
このように救急部の医師は原則として入院患者さんの主治医になることはなく、あっても短期間です。また、手術も救急外来で可能なもの以外は行わず、そのかわり救急外来の初療(まず初めに診療すること)を専門に行っています。日本で「救急医」といえば、自分で腹部の手術もする外傷外科型の救急医や、集中治療の得意なタイプの人が多く、我々のような救急外来にずっといるタイプの救急医(「救急総合診療医」といいます)は日本ではまだ一般的ではありません。アメリカにはこのタイプの救急医が2万7000人もいるそうで、そのため「北米型救急医」とも呼ばれます。患者さんには「眼科の病気なのに初めから眼科の医者が出てこなくて大丈夫か?」「今回は風邪をひいたといったらこの医者が出てきたが、この前怪我して来たときこの医者は傷を縫っていた。いったい何科の医者だろう?」などという疑問、不安を抱かれる方も多いかと存じます。しかし、多種多様な外来患者さんに安全な医療を効率よく提供するためにはこれがもっとも優れた方法であろうと我々は考えております。
救急部医師の経歴は、もともと卒業直後から救急部の医師であるもの、もとは外科、内科、泌尿器科、皮膚科等の医師であったが、途中で鞍替えして救急医になったものなど様々です。しかし、いずれも現在は救急総合診療部専属の医師として働いています。
なお、当院救急部は日本救急医学会認定施設です。
ここまで読んで救急部総合診療部に興味を持たれた方は、これとは別に当科のホームページがありますので、そこまで足を運んで頂ければ幸いです。
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