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最適治療を選択――悪性リンパ腫・多発性骨髄腫

血液・腫瘍内科 山内 高弘 科長・教授

悪性リンパ腫・多発性骨髄腫とは

悪性リンパ腫は血液細胞のリンパ球が、がん化して無制限に増殖する血液がんです。悪性リンパ腫は、リンパ組織であるリンパ節、脾臓、扁桃腺だけでなく、リンパ節以外の胃、腸、脳、精巣といった体のさまざまな場所に局部の腫れとして発症します。

多発性骨髄腫も血液がんです。形質細胞が、がん化して無制限に増殖します。がん細胞は主として骨髄の中で増えますが、体のさまざまな場所に腫瘤(しゅりゅう)を作ることもあります。

最適な治療を選択

悪性リンパ腫では、放射線照射や化学療法(抗がん薬治療)が、主として用いられます。悪性リンパ腫には、さまざまな種類があるため、患者さんごとに最適の治療を選択します。多発性骨髄腫では近年発売されたボルテゾミブ、レナリドミドといった新しい薬を組み合わせた化学療法(抗がん薬治療)を行います。必要に応じて抗がん薬を大量に用いる自家造血幹細胞移植併用大量化学療法を行います。

ここが最高――抗がん薬の専門家

血液・腫瘍内科は化学療法(抗がん薬治療)のプロフェッショナル集団です。抗がん薬の専門家が患者さんごとに最適の抗がん薬治療を行います。国内では、当院も含め悪性リンパ腫・多発性骨髄腫の専門家が集まって共通の治療法を用いて治療成績を向上させる努力をしています。さらに、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法、イブリツモマブチウキセタンという特殊なRI標識抗体療法、そしてがん治療最前線にある免疫チェックポイント阻害薬を安全に行うことができます(図)。

図 血液・腫瘍内科のリンパ腫・骨髄腫治療への取り組み

ここが安全・安心――新病棟に17床の無菌個室

2014年9月に福井大学附属病院新病棟が完成し、血液・腫瘍内科は17床の無菌個室を有しています。

ここが最新――新薬治療や治験を実施

治験とはまだ薬として認可されていない「薬の候補」を用いる治療をいいます。保険で認められた薬剤で十分な効果が得られなかった患者さんにとっては大きな福音です。現在、行われている治験として、新しいヒ素化合物をT細胞性リンパ腫に対して使用することができます(表)。

表 福井大学病院で行っている治験
T細胞性リンパ腫に対して
  • フォロデシン(終了):2017年6月に発売
  • 新ヒ素化合物:現在進行中