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糖尿病の最新の診療
内分泌・代謝内科 銭丸 康夫 特命助教 此下 忠志 科長・診療教授
糖尿病とは
糖尿病とは血糖値の高い状態が長く続くために、主に血管が障害を受けることにより特徴的な合併症を引き起こす病気です。インスリンという膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモンの作用が足りなくなるために血糖値が高くなります。
糖尿病は、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、その他の分類されない糖尿病の大きく4つに分類されます。この4つの中でも2型糖尿病が約9割を占めるため、一般的に糖尿病というと2型糖尿病を指します。2型糖尿病は食べ過ぎ、肥満、運動をしないなどの生活習慣に加えて遺伝的な要素が絡み合って発症するといわれており、膵臓から分泌されるインスリンが不足、または分泌していても効きが悪い(インスリン抵抗性)ため高血糖になります。一方で小児期に発症しやすい糖尿病が1型糖尿病で、主に免疫の異常が原因で膵臓からのインスリン分泌が急激に減ってしまうために高血糖になります。
糖尿病の合併症
糖尿病に特徴的な合併症としては、神経(神経症)、目(網膜症)、腎臓(腎症)に障害が起こり、段階を追って徐々に増悪し、それぞれ進行すると足切断、失明、腎不全からの透析療法に至ることがあります。また、動脈硬化も進みやすく、心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳梗塞(のうこうそく)になりやすいといわれています。このため合併症が進行しないように、糖尿病治療を行っていくことが必要です。
糖尿病の検査――血糖コントロールを中心に
糖尿病のコントロール状態を表す検査としてよく用いるのは、血液検査による血糖値とHbA1cという値です。血糖値はまさにそのときの状態を示しますが、HbA1cはここ1~2か月の状態を反映した値となるため、検査前の食事などによる影響はなく、長期間の血糖コントロールの状態を把握するのに有用です。
また、インスリンを打って治療する方は家でも血糖値を測定できる簡易血糖測定器の利用が保険で認められており、コントロールの状態を把握できます。最近は持続血糖モニタリングという方法が可能となり、500円玉くらいの大きさのセンサーを体に取り付けることによって、5~15分ごとの血糖値の状態を詳細に把握することが可能です(図1)。この器械を使用すると、寝ている間の深夜の血糖値の状態や、食後の血糖値の状態など点で見ていた血糖値が線で見ることが可能となるため(図2)、血糖値が不安定な方などの状態把握にとても活躍します。当院でも積極的にこのモニタリングを入院患者さんに取り入れて活用しています。

図1 パーソナルCGM機能を搭載したインスリンポンプ装着イメージ

図2 持続グルコース測定(CGM)の1例
糖尿病の検査――合併症の検査を中心に
患者さんによって程度の差はありますが、糖尿病を長く患うことにより、少しずつ合併症が出現、そして増悪することがあります。また、合併症は初期にはあまり症状を認めないことが多いのです。このため定期的に状態を把握する必要があります。目(網膜症)の状態に関しては、眼科に受診して網膜の状態を評価します。腎臓(腎症)の状態に関しては、採血と検尿により簡単に評価が可能です。神経(神経症)の状態は、音叉(おんさ)や打腱器(だけんき)、心電図などによる検査で評価しています。
糖尿病の治療(2型糖尿病を中心に)
治療の3本柱は食事、運動、薬物療法になります。
まず食事療法に関しては、患者さんの体格や、活動量、合併症の状態を考慮して、適正なエネルギー摂取量を算出し、管理栄養士に具体的な食事療法の在り方を指導してもらいます。
運動療法に関しては、一般的に有酸素運動とレジスタンス運動(筋力トレーニング)を組み合わせた形が望ましいとされていますが、血糖値の状態、合併症の状態などにより、運動療法が危険とみなされる患者さんもいますので、医師から運動療法の実際に関して指導を行います。
薬物療法に関しては、現在インスリンなどの注射剤や、多くの種類の内服薬があり、使い分けなどが難しいとされますが、当院には、2018年現在で糖尿病専門医(日本糖尿病学会認定)が6人在籍しており、最新の情報を取り入れながら、薬を駆使して糖尿病の治療にあたっています。
一方で1型糖尿病の治療の基本は、インスリン治療になります。インスリン分泌が枯渇(こかつ)しているため、食事をすると著しい高血糖となります。高血糖にならないように不足するインスリンを、長さ4mm程度の髪の毛くらいの細さの針(痛みはほとんどありません)のついた注射器を用いて自分でお腹(なか)に注射して補います。1日3~4回インスリン注射をして、コントロールすることが多いのですが、インスリンを持続的に補うポンプ療法を選択することもあります。
最近は、このポンプ療法に進化があり、前述の持続血糖モニタリングとポンプ療法を同時に行えるシステムが使用できるようなりました。海外からは、この治療法により低血糖の回数が減ったり、血糖コントロールが改善するとの報告がされています。1型糖尿病の患者さんの治療がより充実してきています。
糖尿病治療サポート
糖尿病は、現代の医療においても根治が難しい病気であり、長期間にわたって血糖値をコントロールしていくことが重要です。このため、患者さんを中心に家族、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、検査技師、理学療法士などがその周りを囲んでサポートすることが理想的です。当院では、「チームガンバロッサ」という糖尿病治療サポートチームを作り、患者会などの企画運営を行っております(写真)。また、インスリン注射をされている方、合併症を抱えている方を中心として、療養生活の指導、支援、相談も診療の一環として行っています。
糖尿病の入院
糖尿病は食事や運動、必要に応じて自分でインスリンを打つ治療などを行ったり、自己管理がとても重要となる病気です。また、糖尿病の療養生活はとても長くなります。理想的には、糖尿病と診断されたなら、短期間1~2週間の入院を行い、糖尿病をしっかりと理解するための糖尿病教室に参加すると、より糖尿病の理解が深まり、自身の生活習慣なども見つめ直す良い機会にもなりお勧めです。この入院中に、検査を集中的に行い、糖尿病合併症の状態を評価することもできます。