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内服薬では抑えきれない不整脈に対するカテーテル治療
循環器内科 絈野 健一 助教 夛田 浩 科長・教授
不整脈とは
不整脈とは、字のごとく脈が乱れた状態を指しますが、脈自体が整っていても脈が早すぎる場合(頻脈(ひんみゃく))や遅すぎる場合(徐脈(じょみゃく))も不整脈に含まれます。
症状はドキドキする、脈が飛ぶ、めまいがするなど、患者さんによってさまざまです。心臓には、規則正しく収縮するための電気信号が流れています。信号は心臓上部の洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる場所から出て、伝導路を通って心臓全体に伝わりポンプを収縮させます。心臓の中でこれ以外の電気信号が発生したり、電気信号が心臓の中で回ってしまうと不整脈が起こります。異常な電気信号の発生場所により、心房性(もしくは上室性)、心室性に分けられます。
不整脈の治療
心筋梗塞(しんきんこうそく)や弁膜症など不整脈の原因となる心臓の病気があれば、その原因疾患を治療しながら、不整脈に対しては内服薬で経過をみるのが基本です。内服薬だけでは症状やQOL(生活の質)が改善されないときには、カテーテル治療が有効な場合があります。カテーテル治療は一般的に、カテーテルアブレーションもしくはカテーテル心筋焼灼術(しょうしゃくじゅつ)と呼ばれており、近年、不整脈の種類によっては、その有効性、安全性、経済性の面から、内服治療よりも優先して選択される場合もあります。
カテーテルアブレーション
メスを使わずに行う心臓手術の一種で、心臓の中で不整脈の原因となっている場所を焼灼する治療です。
足の付け根(鼠径部(そけいぶ))の静脈もしくは動脈から心臓に、直径2~3mm程度のカテーテルを挿入して行います。焼灼による痛みなどはほとんどなく、また手術時間は1時間から数時間程度です。これまで開胸手術で行われてきた治療と比べても、より低侵襲(ていしんしゅう)(体に負担の少ない)で安全に行うことができるようになりました。麻酔で眠った状態で行うこともでき、通常4日~1週間程の入院を要しますが、手術翌日より歩行が可能です。
また、カテーテルアブレーションは薬物治療のような対症療法ではなく、根治的治療法であるため、治療がうまくいけば、内服薬を中止することができ、その後の通院も不要となることも多くあります。当院では、内服薬では特に治療が難しい心房細動(しんぼうさいどう)や心室性不整脈に対して、積極的にこのカテーテルアブレーションを行っています。
心房細動の治療
心房細動は、心臓の心房という部屋が細かく痙攣(けいれん)したように動く不整脈で、脈が全く不規則になってしまうのが特徴です。症状は、ドキドキする、脈が途切れる、息が切れる、疲れやすいなどさまざまで、健康診断で初めて分かる無症状の方も多くおられます。患者さんによっては、脳梗塞(のうこうそく)や心不全の原因になる場合があるため、早期に発見し早期に治療を行うことが大切です。
心房細動の多くは、肺静脈という血管が肺から心臓につながる部分で発生する異常な電気信号が原因であるといわれており、カテーテルアブレーションによって肺静脈周囲を焼灼することで、多くの方で完治が可能です(図1)。

図1 心房細動に対するカテーテルアブレーション(心筋焼灼術)
足の付け根(鼠径部)の血管からカテーテルを挿入し、肺静脈の周囲を焼灼する
治療成績は年々向上しており、内服を中止できる方もたくさんおられます。しかし一部の方では、思い通りの効果が得られないこともあり、それぞれの患者さんに合った治療法を選択する必要があります。
心室性不整脈の治療
右心室もしくは左心室に異常な電気信号が発生して起こる不整脈です。異常な電気信号によって、心臓が本来より少し早く収縮してしまう心室期外収縮が最も多くみられます。脈が抜けたり、ドキンという動悸(どうき)を感じたりしますが、無症状の方も多く、通常は治療の必要はありません。症状が強い場合や、数が多く心臓の負担となっている場合などでは治療を行うこともあり、カテーテルアブレーションによる完治も期待できます。
心筋梗塞などの基礎心疾患がある場合は、傷んだ心筋が回路を作り、そこを電気信号が回ることで心室頻拍(ひんぱく)となることがあります。心室頻拍は、心臓のポンプ機能が破綻し致命的となる場合もある危険な不整脈です。治療には、別項で述べる(「致死性不整脈および難治性心不全に対するデバイス治療」参照)除細動器の植え込みが必要となりますが、カテーテルアブレーションでその作動の頻度(ひんど)を減らせる場合があります。
ここが最新
カテーテルアブレーションでは、カテーテルやその周辺機器が急速に進歩しており、当院では最新の機器を導入して治療にあたっています。カテーテルは先端から水が流れるようになっており、焼灼によって血栓(血の塊)ができるのを防いでいます。
また、カテーテル先端と心臓の接触具合が数値で表示できるようになっているため、従来よりも安全で確実な焼灼が可能です。さらに、通常カテーテル治療はⅩ線透視画像を参照して、カテーテル位置を確認しながら行うのが一般的ですが、当院では、患者さんごとに作成した心臓の立体画像と一度撮影したⅩ線画像をコンピューターに取り込み、その上にリアルタイムでカテーテル位置を表示することができる3次元マッピングシステムと呼ばれる装置を使用しています(図2)。これにより個々の患者さんに応じた正確な治療を行うことができ、患者さんの放射線被曝も軽減されると考えています。
2014年からは、直径28mm(もしくは22mm)のバルーン(風船)で肺静脈の付け根を冷凍して変性させる冷凍凝固アブレーション(図3)を北陸で先駆けて行っており、現在のところ治療成績は良好です。

図3 心房細動に対する冷凍凝固アブレーション
肺静脈の付け根をバルーンを用いて冷凍して変性させる
また、治療が難しい心筋梗塞などの基礎疾患に伴う心室頻拍に対しても、3次元マッピングシステムを駆使することで、心室頻拍回路の細かい解析や正確な焼灼が可能となっています。
おわりに
近年の治療方法の向上により、病状によっては完治可能な不整脈も増えています。しかし、ストレス、疲労、寝不足、飲酒などから不整脈は出やすくなります。予防には生活習慣の改善を心掛けることが大切です。それぞれの病状に応じた治療を行う必要がありますので、かかりつけ医を通じて相談してください。