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肝炎・肝がんの最高・最新の治療
消化器内科 / 消化器外科 (消化器内科)根本 朋幸 講師 中本 安成 科長・教授 (消化器外科)小練 研司 助教 五井 孝憲 科長・教授
C型ウイルス性肝炎治療の進歩
肝炎を引き起こす肝炎ウイルスのうち、B型とC型は感染が持続すると慢性肝炎となり、肝硬変へ進行し、肝がん(肝細胞がん)の発症に至ります。国内において肝がんの原因として一番多いものは、C型肝炎ウイルスによるもので、全体の約70%を占めています。また、C型肝炎にかかっている人は150万人いると推定されていますが、治療を受けている患者さんは50~80万人にしかすぎず、自分がC型肝炎ウイルスに感染していることを知らない人も多くいると考えられています。
これまでC型肝炎ウイルスを排除することは困難でしたが、2014年7月より画期的な治療薬が登場し、現在は4種類の薬で治療が行われています。これらは直接作用型抗ウイルス薬と呼ばれるもので治療効果がきわめて高く、また副作用がほとんどなく安全です。1日1回8〜12週間の内服で97%以上の患者さんでウイルスが消失します。この新しい直接作用型抗ウイルス薬によって、C型肝炎が撲滅される日も間近と考えられています。C型肝炎ウイルスが排除されると肝臓にがんが発症するリスクは低くなりますが、決して肝がんにならないわけではないので、定期的に画像検査(エコー〈超音波診断装置〉、CT、MRI)を受ける必要があります。
当院における肝がんの診療体制
肝がんは、B型・C型肝炎ウイルスだけではなく、アルコールや脂肪沈着などによる慢性肝疾患をわずらっている人がかかりやすいがんです。近年は減少傾向にはありますが、肝がんによって年間3万人の方が亡くなっており、依然として多いのが現状です。肝がんは肝臓全体が病気になっているので一度治っても再発することが多く、膵(すい)がんの次に治りにくいがんです(写真1)。肝がんの再発率は1年で18.6%、5年で72.0%と高率で、治療後も厳密なフォローアップが必要です。また、慢性肝疾患による肝機能の低下があると最適な治療が選択できなかったり、治療後に黄疸(おうだん)(顔や体が黄色くなること)や腹水(お腹(なか)に水が溜(た)まること)といった肝不全(肝臓の機能が低下し症状が出ること)になったりすることがあります。したがって肝がんの治療を行うときには、肝がんの進行度(病期)と肝機能を考えて治療法を選ばなければなりません。
当院では内科・外科を含めて、日本肝臓学会の指導医2人、専門医7人が在籍し福井県下で最大の診療体制であり、また放射線科とも密に連携しています。外科的手術、ラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈化学塞栓療法(そくせんりょうほう)などの治療法の選択について十分に検討し、最高・最新の医療を安心と信頼の下で行っています。
最新のラジオ波焼灼療法(RFA)
RFAは、肝がんに対して根治(がんが再発しないように根本から完全に治すこと)可能な治療法です。エコーで肝がんを観察しながら皮膚の表面から特殊な電極針を刺して、ラジオ波という高周波で発生させた熱で肝がんを焼く治療です。肝がんの中の温度がおよそ60℃以上になると、がん細胞は死滅します。RFAは肝臓に対する負担が少ないため、繰り返し行うことが可能です。
当院では、正確かつ安全にRFAを行うために最新の画像診断技術および装置を導入しています。治療は、まず事前に行ったCTなどの肝がん情報をエコーに送りリアルタイムに同時表示して行います(写真1)。これによってエコーで肝がんをより確実に描出できることになり、また肝臓の中の血管と肝がんの位置関係が分かりやすく、針を刺すことが難しい場所にある肝がんであっても安全に治療することが可能です。さらに、1本の針だけでなく2~3本の針を同時に刺して治療可能な装置も使用しています。2~3本同時に用いることで、広い範囲を焼くことができるため、治療した部位からのがんの再発を減らすことにつながります(写真2)。
日本肝癌研究会の報告(2014年)では、RFAを受けた肝がん患者の5年生存率(治療後5年生存している割合)は57.7%ですが、当院消化器内科の成績は71.8%と標準的な治療成績を上回っています。
3Dシミュレーションを用いた安全な肝がんの外科治療
肝臓は胃や腸と違って中身が詰まった臓器で、また内部には多数の大小の血管が走行しています。そのため、手術を行うときには切除予定の腫瘍(しゅよう)がある肝臓の領域の血管のみを切離し、残す方の肝臓については確実に血管を残すことが重要となってきます。そこで消化器外科では肝機能の温存、さらに血管や胆管走行を詳細に把握するために、肝臓の手術を行うすべての患者さんにおいて肝切除の3Dシミュレーションを行っています。これは手術前に1mm厚ととても細かく撮影したCT検査の画像データから専用のコンピュータを用いて解析を行う方法です。特に肝がんの手術の場合には、門脈という肝臓の血管を根本で切って、その血管の肝臓領域を切除する必要があるので、肝臓全体を100%とした場合、どの血管を切ると何%の肝切除になるかということを、立体画像を作成して手術前に細かく検討します。
安全な肝切除術の実際の施術例
「写真3」は1例ですが、紫色と桃色が肝臓内を走行する血管で、赤色が腫瘍、その周りを囲む緑色が切除する予定の肝臓の領域となり、この場合は約23%です。正常な肝臓の場合は、およそ70%までの切除が可能ですが、慢性肝炎や肝硬変の方ではそこまで大きく切除することはできないため、可能な限り肝臓を残すための精密なシミュレーションがより重要になってきます。また患者さんの肝臓は一人ひとり大きさや形が異なりますから、手術を行う医師が直接画像作成を行うことで、これから手術する患者さんの肝臓の立体構造を正確に把握することが可能となり、良好な手術成績につながります。