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首に傷が残らない甲状腺手術

耳鼻咽喉科・頭頸部外科 菅野 真史 助教 藤枝 重治 科長・教授

頸部にメスを入れず甲状腺腫瘍を摘出

甲状腺は、頸部(けいぶ)にある甲状腺ホルモンを作り出しているところで、腫瘍(しゅよう)などができやすい臓器です。内視鏡補助下甲状腺手術(Video-assisted neck surgery:VANS法、写真1)は、2016年4月に保険適用となりました。2017年4月より当院も施設基準を満たし、保険診療可能となりました。耳鼻咽喉科・頭頸部外科では、年間100例前後の甲状腺手術を行っておりますが、従来の方法は頸部に10~12cmの傷跡が残ります(写真2)。

写真1 内視鏡補助下甲状腺手術

内視鏡補助下甲状腺手術は、服で隠れる鎖骨(さこつ)の下に2cm程度の小さな切開を入れ、首には内視鏡を挿入する5mmのわずかな傷だけを作成します。女性に多い甲状腺手術では、通常手術と比べて頸部に傷跡が残らない点で美容上、たいへん優れており、術後疼痛(とうつう)や頸部の違和感も少なく、患者さんにとってきわめて有益な手術法です(写真3、4)。

写真2 甲状腺術後の創部(黄色枠内)
頸部のほぼ正中に認める

写真3 内視鏡手術による創部
鎖骨下にわずかな傷
術後3か月ですでに目立たない

写真4 内視鏡手術での創部
洋服に隠れ、分からない

また、入院も1週間程度と通常の甲状腺手術より短い期間で可能です。手術の確実さや安全性においても通常手術と変わりありません。現在当科では、大きさが4cm程度までの甲状腺良性腫瘍を対象としています。