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顎関節症の診断と治療
歯科口腔外科 松田 慎平 講師 佐野 和生 科長・教授
顎関節症とは
顎関節症(がくかんせつしょう)は、顎関節や咀嚼筋(そしゃくきん)の痛み、顎関節の雑音、開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする障害の包括的診断名であり、これらのうち少なくとも1つ以上を有することが顎関節症と診断する基準とされています。したがって、咬み合わせの違和感、耳の症状、頭痛、首や肩のこり、画像検査による異常などだけでは顎関節症とは診断しません。
発症には、解剖要因、咬合(こうごう)要因、外傷要因、精神的要因、行動要因のさまざまな因子が関連していると考えられています。近年では、日中・夜間のくいしばりなどの行動要因が特に注目されています。精神的なストレスは筋肉の緊張を引き起こし、咀嚼筋(そしゃくきん)や顎関節の負担を増加させる可能性があるなど、それぞれの因子が影響しあって症状を発現している可能性があります。日常でストレスをため込むことなく、顎(あご)に良くない習慣や癖を自覚し、それらを意識して中止することは顎関節症の症状を改善する上で重要と考えられます(図1、写真)。

図1 顎関節の構造

写真 顎関節のMR画像
顎関節症の発現頻度
厚生労働省の歯科疾患実態調査では、顎関節に雑音や痛みを自覚する人の割合が報告されており、多くの人が顎関節に症状を有していることが明らかになっています。顎関節の痛みは、特に10歳代から20歳代で多くみられます(図2)。

図2 顎関節に雑音や痛みを自覚する人の割合
顎関節症の治療
治療法として、薬物療法、スプリント(マウスピース)療法、理学療法などが挙げられ、日本顎関節学会より発表されている診療ガイドラインを基に治療を検討します。現在では、顎関節症は時間の経過とともに症状が軽減する病気と考えられているため、手術などの外科的治療を行うことはなく、前述した治療法のうち可逆的な治療法(元の状態に戻ることができる治療法)が優先されます。また、著しい痛みの自覚がある状態、あるいは症状を自覚して間もない段階では、咬み合わせの調整などの非可逆的な治療(元の状態に戻ることができない治療)は行いません。食事や会話など、口の開け閉めは日常生活で非常に重要です。顎関節の症状は生活の質を著しく低下させかねず、適切な対応が求められます。
ここに注意
顎関節症の3つの主要症候は、別の疾患でも自覚されることがあるので注意が必要です。顎関節に起こる顎関節症以外の疾患はもちろん、歯や耳、鼻など比較的近い器官、さらには心臓などの離れた器官の疾患でも、顎関節に症状を現わす可能性があります。まれに、顎関節原発の腫瘍(しゅよう)および腫瘍に類似した疾患や、他臓器から顎関節へがんの転移を認めることもあります。
したがって、顎関節の症状が長引く場合には、前述の3つの主要症候に当てはまったとしても患者さん自身で判断することなく、専門医の診察とMRI検査およびCT検査を受けることをお勧めします(図3)。

図3 顎関節の診察の流れ
他診療科との連携
耳の症状や頭痛、首や肩のこりなどと顎関節症の関連は明らかになっていないため、これらが併発していたり症状の主体である場合や、そのほかの顎関節症以外の病気が疑われる場合には、追加の画像検査あるいは当院の他診療科の受診をお勧めする場合があります。