血液検査で良性の子宮筋腫と悪性の子宮肉腫を鑑別する腫瘍マーカーを発見したことについての記者発表を行いました
7月9日(木)、本院産科婦人科 吉田好雄教授と福井県立大学 水谷哲也教授は、血液検査で良性の子宮筋腫と悪性の子宮肉腫を鑑別する腫瘍マーカーを発見したことについての記者発表を行いました。
一般的に子宮がんと判断される子宮頸がんや子宮体がんとは異なり、頻度は少ないものの悪性腫瘍である子宮肉腫は、良性腫瘍である子宮筋腫と鑑別がつきにくいものです。さまざまな画像診断技術や従来の腫瘍マーカーを用いても鑑別が困難で、早期に適切な治療を開始できないことから、患者への負担が少ない検査方法で鑑別するバイオマーカーの開発が急務となっていました。
吉田教授らの研究チームは、血清濃度を調べる測定法を用いて、子宮肉腫と子宮筋腫のターゲットとなる値を導き、肉腫の可能性を数値化し、腫瘍マーカーの同定に成功しました。これは血液採取による簡便かつ侵襲性の少ない鑑別方法の確立が期待される成果です。
本研究成果をもとに、血液中のタンパク質の測定による子宮肉腫診断に関する特許を取得しており、より高い精度の鑑別方法の確立に向け、国立がん研究センターと共同研究を進めていきます。今後、この鑑別方法が広く普及することで、子宮筋腫と子宮肉腫の早期鑑別につながり、適切な早期治療の実現が期待されます。