輸血部
輸血は現代医療にとって必要不可欠の補助療法です。輸血に習熟した専従の医師と技師が配置され、「安全確保」と「血液製剤の適正使用」をキーワードに患者の皆さまに安心して輸血を受けていただける院内体制の整備と維持に努めています。
診療体制・治療方針
安全確保に関しては血液型と不規則抗体スクリーニング検査及び製剤管理を24時間体制で実施しています。院内すべての血液製剤をコンピューター管理できる体制となったことで、血液バック取り違えなどの人為的ミスを機械的にチェックできるようになり、輸血実施に関連したオカレンスは報告されなくなりました。
輸血副反応を皆無にすることはできませんが、中等症以上の輸血副反応についてはすべて把握できる体制を構築しており、各診療科と協力し適切な治療と予防手段を講じています。同種血輸血による副反応を防ぐ手段としての自己血輸血の有用性を啓発しており、昨年は約40人の患者さんが自己血貯血を利用されました。
これまで十分に自己血を利用していただけていない診療科に対する需要掘り起こしにも力を注いでいます。患者さんの一部には条件の厳しい方も多くおられますが、計画、貯血、出庫までを輸血部にて一元的に管理することで、貯血時の重篤な有害事象や人為的ミスを予防する体制が確立されています。
血液製剤の適正使用については「輸血療法の実施に関する指針」、「血液製剤の使用指針」の内容を輸血療法委員会などを通じて院内に浸透をはかり、エビデンスに基づいた輸血医療を支援しています。血液製剤適正使用の目安とされる新鮮凍結血漿と赤血球製剤の使用比率(FFP/RBC)について、厚生労働省の掲げた目標値は0.54です。本院におけるFFP/RBCはこの目標をクリアし0.30となっており、各診療科における適正使用が定着されつつあることを示しています。今後はアルブミン製剤(ALB)など血漿分画製剤のさらなる適正使用の普及を目指します。
高度医療
造血幹細胞のプロセッシングに必要なクリーンベンチ、末梢血幹細胞採取装置(Spectra Optia)、幹細胞保存用ディープフリーザーと液体窒素タンクを備え、フローサイトメーターによる造血幹細胞数の計測と合わせ血液・腫瘍内科および小児科で行われている自己および同種造血幹細胞移植の診療支援を行っています。
これらは今後進展が予想される幹細胞を利用した再生医療に関する研究器材としても十分であり、各診療科の積極的な利用が期待されます。

クリーンベンチ

フローサイトメーター
部長・スタッフ紹介

血液疾患・臨床腫瘍・痛風

血液疾患・がん薬物療法・輸血
学会等認定制度による施設認定
学会等名 | 事項 |
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日本輸血・細胞治療学会 | 認定輸血検査技師制度指定施設 |
日本輸血・細胞治療学会 | 認定臨床輸血看護師制度指定研修施設 |
日本輸血・細胞治療学会 | 認定医制度指定施設 |